備忘録79「日本の臭素系ダイオキシン類のインベントリー」

79.-2010.10.04「日本の臭素系ダイオキシン類のインベントリー」

 ダイオキシン対策特別措置法が成立した時に、「政府は、臭素系ダイオキシンにつき、人の健康に対する影響の程度、その発生過程等に関する調査研究を推進し、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする」という付則がついた。これに応えて環境省では以来臭素系ダイオキシン類の調査を少しずつではあるが行ってきた(臭素系ダイオキシン類に関する調査結果)。この調査に関する委員会に参加しているが、発生源調査情報がようやくある程度揃い、9月末の委員会(公開ではなかった)では、排出インベントリーを試算できるところまで来た。まだ未調査の産業プロセスも多いので、いわゆるダイオキシン類(塩素化ダイオキシン類)のインベントリーの精度には遠く及ばないが、特徴が見えてきた。

 塩素化ダイオキシン類は、水への排出より大気への排出が圧倒的に多いが、臭素系ダイオキシンは、水への排出>大気への排出、となりそうである。燃焼プロセス由来の排出が多かった塩素化ダイオキシン類に対して、臭素系ダイオキシン類は難燃剤の製造や取扱施設からの排水としての排出が多いのである。すなわち、熱プロセスにおけるいわゆるde novo生成より、化学プロセスでの副生成がより問題ということだ。しかし、まだ未調査の産業が多いので、もう少し調査の進展を待つ必要がある。

 もう一つ分かってきたのは、TEQベースでは、臭素系ダイオキシン類の排出総量は、塩素化ダイオキシン類に比べて1~2桁程度は小さいことになりそうだということである。もちろん排出量がそのまま曝露量やリスクになるわけではないので注意が必要だが、ダイオキシン類より大きな問題とならないことが確かめられつつあり、一安心と言えよう。