備忘録80「論文投稿における不正と博士論文のWEB掲載」

80.-2011.01.12「論文投稿における不正と博士論文のWEB掲載」

 インターネットの普及で、情報を自由に流通、取得できるよういなった一方、情報漏洩などが問題になっている。また著作権の侵害や盗作の問題も生じている。

 大学では学生にレポートを課す場合も多いが、今の学生は参照先として、本や辞典よりインターネットを使うことが多いのではないだろうか。この場合、昔のように書写する手間もいらず、コピー、ペーストが可能なので至って簡単にレポートの作成が可能になってしまう。以前は、どこかで読んだことのある文章だということで、見つけて叱ったこともあったが、これだけ多くの情報が流布していると写したことを見つけ出すのも困難になってきている。

 さて、投稿論文でも盗作や二重投稿が課題になってきているようだ。私が関係している国際誌は、最近投稿論文について盗作(plagiarism)のチェックをかけるようにしたそうだ。既にそのようなチェックサービスが提供されているのだ(例:iThenticate)。そして、「cookie cutter papers」を多数見つけたらしい。cookie cutterとはクッキーを焼く前に形をそろえるために切る型のことで、同じ物をつくることをさす。論文の場合は、全く同じ手法を異なる対象に適用し、論文を量産することなどが相当するらしい。でも、対象が違えば不正とまでは言えないかもしれない。その他に、二重公表が見つかった。投稿論文とほとんど同じ内容を、その著者が博士論文として大学のWEBサイトに掲載していたケースだ。この場合、そのWEBサイトから削除させた後に、査読を開始したということだ。

 現在、わが大学も博士論文を大学のリポジトリーサイトに掲載することを推奨しているので、学生が博士取得後に投稿論文を作成する場合はひっかかることになる。また、研究助成を受けた報告書が公開になってから論文にする場合もひっかかるだろう。不正とも言えないので、悩ましいことである。

 この雑誌の編集会も微妙な問題なのでさらに検討するが、とりあえず、類似した記述がインターネット上に見つかった場合は、レビューは開始せず、理由を付けて返却することにしている。