HBCD等の製品中残留性化学物質のライフサイクル評価と代替比較に基づく環境リスク低減手法

研究成果

研究成果 「HBCD等の製品中残留性化学物質のライフサイクル評価と代替比較に基づく環境リスク低減手法」

 ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)はストックホルム条約のリストへの追加が決定し(2013年)、今後、国際的に生産と使用が禁止されていくことになった。本研究は、そのような決定がまだ決まる前に、HBCDの禁止と代替が環境リスクなどを本当に低下させることになるかを事前評価しようとしたものである。
 国際的な規制は予想より早く導入されることになったが、特定の用途(エセンシャルユース)での使用は認められており、本研究の成果は、エセンシャルユースでも禁止とするか、既に使用中の製品をどう扱うかなど、今後必要となる施策を決定する際に参考になることを期待している。

 公表した研究成果は業績一覧をご覧いただきたい。

研究成果の要約

  1. HBCDの日本国内でのライフサイクルを通してのマテリアルフローを明らかにした(年次変遷を含む)。
  2. 次に、HBCDの各ライフステージにおける環境への排出係数を調査・収集し、マテリアルフローのデータと合わせてHBCDの環境排出量を推定した。 これによって、ライフサイクルのどのステージに対策を講じれば、効率的に環境排出量を減らせるかを明らかにした。
  3. HBCDに対する国際的に規制に対応して、HBCDの代替が進むと予想されるので、特許情報調査、業界へのヒアリングなどを通して、代替物質を予想した。この結果、HBCDの主要4用途(XPS、EPS、カーテン、カーファブリック)に対して5種類の代替化合物が使用される可能性があることを示した。
  4. HBCDがそのまま継続する継続シナリオと代替が進む代替シナリオを想定し、難燃性能を一致させることを基本として、HBCDと代替化学物質の需要量の年次変遷を予測した。
  5. 代替シナリオの化学物質が使用された場合のライフサイクルマテリアルフローを構築した。
  6. HBCDとその予想代替化学物質の物性の相違に基づき、代替化学物質の各ライフステージにおける排出係数を推定した。これによって、代替した場合に環境排出量を予測でき、寄与が大きいライフステージを事前に予測することが可能になった。
  7. 継続シナリオと代替シナリオの下での環境排出量を入力データとして、マルチメディア化学物質環境濃度予測モデルを動かし、HBCDと代替化学物質の環境濃度を予測した。さらに、一般人の環境や食物を通しての曝露量を予測した。
  8. HBCDと代替化学物質を統一尺度でリスク比較するための手法について検討した。毒性情報の質が異なる場合、エンドポイントが異なる場合などに公平に比較するための手法について提案した。しかし、本研究で予想されたHBCDの代替化学物質に関する毒性情報は得られなかったため、QSAR等に基づいて代替化学物質のハザードを推定した。
  9. 以上の成果を総合して、HBCDと代替化学物質の同一尺度におけるリスク比較を試行した。
  10. 代替化学物質の代わりに、代替製品(XPSとPPSに対してグラスウールやウレタンフォーム断熱材。繊維難燃加工に対して素材難燃糸。)を使用した場合の環境性能(人健康リスク、二酸化炭素排出量、埋立地消費、代替コスト)について比較した。 代替製品によっては、これらの全ての項目でHBCDより優ると推定されたものが存在したが、今回の評価に含まれていない項目(施工のしやすさなど)があることには留意が必要である。
  11. 本研究では、HBCDを事例対象として研究を行った。本研究で採用した検討手順は、化学物質の代替を評価する際に普遍的に利用できるものであり、このような試みが他の事例に対して広く検討されることを期待する。
                                               (2013.3.31)
  12. 研究期間終了後、代替化学物質のリスク評価に関してより精度を向上させたQSAR解析を実施した。
                                                   (2013.8.24)


研究成果の概要図 PDF版

 C1003 Summary Figure